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すると祐也は
「…あおい、だいすき」
と囁くと、また目を閉じてしまった。
息は!?心臓は動いているのか!?
鼻の下に指を当てると、静かな空気の動きが感じ取れた。
心臓に耳を付けると、確かに規則正しい心音が聞こえた。
手首を取り脈拍を数える…少し早いが正常の範囲内だ。
「…よかった…」
横抱きにした祐也をそっと抱きしめる。
やっと繋がった。
やっと俺のものになった。
今の祐也からは、濃厚な薔薇ではなくフリージアのような淡く優しい香りがしていた。
「祐也。」
胸を振るわせながら口付ける。
ぴくりと動いた祐也が、ゆっくりと目を開けた。
「あおい。」
心底嬉しそうに名を呼ばれ、胸が高鳴る。
祐也から、ぶわりと濃厚な匂いが立ち込める。
その匂いを嗅いだ途端に、俺自身がまた息を吹き返した。
身体の奥からむらむらと熱を帯びてくる。
これがαを誘うΩの発情期の匂いか。
祐也、求めてくれ。
俺を、俺だけを。
愛おしい、愛くるしい俺のΩ。
もう、本物の…俺のものになってくれ。
「祐也、俺だけの祐也になって…」
目を逸らさずに伝えると、祐也は俺を見つめ返し、ふっ、と微笑み頷いた。
何処を触っても何処にキスをしても、果てない欲望が次々と生まれ溢れて止まらない。
食い込む程に指を絡め、お互いの身体で触れてないところがない程に触れ合い、ただ名前を呼び合う。
触れ合ったところからひとつになり、まるで1匹の生き物になるように、細胞まで溶けていくような気持ちになっていく。
俺はお前で
お前は俺で
俺達は2人でひとつになるんだ
愛してる、なんて言葉じゃ足りない。
思いが溢れ過ぎて涙が零れ落ちる。
あぁ、愛するひとよ…このまま離れないで…
そして、抽挿を繰り返し、己れの欲を吐き出すその時…俺はありったけの思いを込めて、祐也の頸を噛んだ。
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