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…これから先のことを考えただけで、絶望感に打ちひしがれる。
前途洋々だった俺の人生が、音を立てて崩れていった。
もう、いい。
川上から離れて立ち上がると、ふらふらとキッチンへ歩いて行った。
「河井?どうした?」
呼び掛ける川上の声も耳に入らない。
引き出しを開けて、ナイフを一本取り出した。
小さいが切れ味は抜群のもの。
左手首に当てようとした瞬間
「馬鹿っ!何やってんだっ!!!」
物凄い勢いでナイフを叩き落とされ、抱き止められた。
床に、びぃん、と尖った刃先が突き刺さる。
「止めるなっ!俺の自由にさせてくれっ!」
「させるかっ!冷静になれっ!!
この馬鹿野郎っ!!!」
ぱしっ
左頬に衝撃を受けた。
「この馬鹿っ!!!
αだろうがΩだろうが、お前はお前だろ?
そう簡単に自分の命を捨てようとするな!」
顎を掴まれて川上の顔と対面させられる。
何で…何でお前まで泣いてるんだ?
川上の真っ赤に血走った目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちていた。
その顔を見た途端、最早抵抗する気力も消え失せ、そのまま寝室まで引き摺られていった。
ベッドに放り投げられ、布団を被せられた。
布団の上から抱きしめられる。
「…川上…」
「…………」
「…もう、あんなことしないから…」
「…………」
「約束する。もう二度と馬鹿な真似はしないから…退いてくれ…」
「絶対に?」
「あぁ。約束する。」
「飛び降りたり、睡眠薬もナシだぞ。」
「わかってる。」
即座に納得できなかったのか、暫く俺を抱えていた川上は、その力をゆっくりと弱めていった。
「…川上、ごめん。俺……」
「わかってる。何も言うな。
俺がついてるから、このまま寝ろ。
とにかく寝るんだ。」
布団越しの川上の体温はとても心地良くて。
俺は、何故か酷く安心して静かに枕を濡らしながら眠りに落ちていった。
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