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「なぜこんな? 誰が考えたのですか? 棺には誰が?」
「一遍に、たくさんの質問だな」バージルの声は落ち着いている。
「説明するよ。この計画を知っているのはジェイラスとウェスリー、司祭のみ。ジェイラスは、最後まで反対した。だが、説得した……」
深夜、バージルがセアラを襲うふりをする。
計画通り、ジェイラスが呼ばれる。
少し正気に戻ったふりをし、セアラが偽の許可証で連れ出す。
皮袋に準備していた子豚の血を、尖塔の部屋と尖塔の下へぶちまける。
その中へ、それぞれ二人は横たわる。
それからすぐ、人目を遠ざける。
用意された棺に、礼拝堂の地下に隠していた子豚を入れる。
人々が戻るころ、使用人に扮した二人は、棺桶屋の荷車に乗り込んでいる。
昨日、川原で釣りをしながら、二人とウェスリーで最後の確認をした。
「ネイトの見た奥方様の手は、真っ白だったと」
緊張気味の、けれど明るく振舞う高い声がした。
「腕を紐できつく縛れば、そうなるわ。まだ痕が残ってるのよ」
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