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ホテルの外
田名部愛は黒づくめの服装の男に言われた事に耳をふさいでホテルの外に出た。
愛は急いで走っていた。
そしてホテルを出ると他の人はもう家に帰ったのか残っていたのは春彦だった。
「愛~心配したんだぞ~何で遅くなったんだ?他の人は帰ったぞ」
田名部愛は「ごめんなさい。遅くなって」
いつものように春彦に震えながら謝っていた。
春彦と少しでも長く離れていたかったからテーブルの下に隠れていたんだった……。
春彦のプロポーズが嬉しくて泣いていたんじゃない。断れば春彦はこのレストランで逆上してまわりの人に迷惑を掛けてしまう。
でも、プロポーズを受けたら私は一生春彦の奴隷になってしまう。。。
私はホテルのレストランの中ではプロポーズを受けるしかなかったんだ。。。
春彦は愛が近づいて来るのを待って愛に言った。
「お前は何でいつも他の人より鈍いんだ。
みんな家に帰ったじゃないか!俺に恥をかかせやがって!お前は俺がいないと本当に駄目だなー。
これからは俺の側を離れるんじゃないぞ」
田名部愛は自分の手を見た。私……震えてる……
こんなに震えてる……
そうだった。私は春彦の彼女になる為に彼好みの
女性になる為にパン好きになったんだ。
春彦の好みになる為に珈琲好きになる努力をしていたんだ~。
本当はご飯の方が好きだし、珈琲より紅茶の方が
好きだった。でも、春彦は紅茶専門店に行きたいと言う私の意見なんて聞いてくれたことは一度もな
かった。
「珈琲の方が美味しいから毎週末パンと珈琲の店に行こう」そう春彦は言った。
具合いが悪いと言っても今日は家で寝ていたいと
言っても私が断るという選択肢を春彦は与えてくれることはなかった。
「俺とのデートをすっぽかすのか?何様だよ!」
「でも、微熱が~」そう言っても「そんなの気合いで治せ」そう言って電話で怒鳴ってくる。
そして私を無理やり家に来て連れ出した。
その時間は私の両親が仕事の時間だと言うことを知っていて……。
春彦は優しいからうちに迎えに来てくれるんじゃない!私がデートを断った時だけ迎えに来る。
家まで送ってくれた時は私の両親が仕事から帰宅する時間だった。いい彼氏だと思わせる為に……。
私はいつの間にか春彦からの電話に震えるように
なっていた。何度、別れ話をしても彼は物凄くキレて私を怒鳴り付けた。私は怖くていつもニコニコと彼の前でしながら彼の話を黙って聞くようになった。
この前、春彦が来るのを自宅で待っていた時
付き合い始めの時と同じようにドキドキしていたのは、春彦を好きだったからじゃない。怖くて怖くてドキドキしていたんだ~。
私は、怖くなっていつだったか~母と父に何度か
相談した事があった。何されるかわからないから
別れられたいと~。どうしたらいいのか?と……。
だから、きっと母と父は私を守る為に殺し屋を雇ったのだろうか?本当のところは今はわからない。
でも、私は違う私が高校生の時に好きになった人が暴力や暴言をするわけない。そう思って
心に蓋をしていたんだ。
田名部愛は今怒鳴り付けてくる春彦を見て全てを思い出した。
「春彦~また私を怒鳴るの?そんな大声でホテルの外で私はそんなに鈍いの?そんなに駄目な人間なの?」
春彦は言った。
「どうしたんだ?愛?君は俺にいつも逆らわないじゃないか?君は俺に従順なはずだろう?僕は君を愛している。黒づくめの男に何か言われたのか?明日黒づくめの男のことで話があるんだ」
全てを思い出した愛は春彦の言葉に恐怖を感じた。
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