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チャイム
次の週末愛は春彦に電話を掛けた。
「春彦~うちの近所にさ~カフェパンっていうお
店が今日開店だって~開店記念でお皿くれるってよ」
「本当か~じゃあすぐ愛の家に行くよ。
記念にお皿なんて手作りパンとか載せたらお洒落だよな~でも、もらえるかな~今から俺が行くとして一時間かかるな~先に並んでる?」
「それが駄目なのよお連れ様と一緒に並んで椅子に座ってくださいって一緒にお店に入らないと駄目って書いてあるの」
「そうなんだ~とにかく急いで行くから待ってろよ」
そういうと春彦は電話をガチャンと切った。
あと、一時間か~この待つ時間も未だにドキドキする愛は高校時代クラスメイトだった時からずっと
春彦の事が好きだった。
ずっと春彦とパンと珈琲を飲みに行かれますように。愛はいつも心の中で祈っていた。
春彦もまた。そろそろ愛にプロポーズをしたいなー
女の子ってサプライズとか~喜ぶってテレビで
言ってたよな~?愛にサプライズするのはやっぱり喫茶店貸切?かな~?俺の手作りパンを並べて俺の家を喫茶店風にしてプロポーズするとか?
嫌~あまりサプライズしても派手とか思われないか?
親友のチャラチャラに後で電話して聞いてみよう。
親友のチャラチャラはあだ名通りのチャラい男で
いい奴なんだけど彼女が同時に五人もいるんだよなー。あいつはもてるからプロポーズの相談には乗ってくれるだろう。。。
嫌~待てよあいつ結婚してないよなー。
そもそもプロポーズの言葉なんて考えた事ないん
じゃないか?あだ名通りチャラいし、本命なんて
いないんじゃないか?
もし?相談したとしてチャラチャラはたぶん
「もう結婚するのか?そんなに早く結婚してどうするんだよ。女は一人じゃないぞ」とか言われるよな?駄目だあいつには相談できん。
そんな事を考えながら愛の自宅に向かっていた。
その頃、愛の自宅では玄関からチャイムの音が鳴り響いていた。
誰かな~?お父さんもお母さんも今日は休日出勤だし?春彦はこんなに早く着かないはずだし……。
「どちら様ですか?」
愛は玄関先で声をかけた物騒だからドアの穴を覗いて声を掛けてからチェーンを外して玄関に出るように両親に言われていた。
愛が声を掛けても玄関の外からは何も聞こえなかった。
愛はもう一度声を掛けた。
でも、何も言わない。
愛は玄関のドアの穴から覗いてみた。
そこには夏なのに全身黒いスーツに黒いジャケット黒い靴黒のネクタイ黒い帽子黒い手袋黒いサングラスを掛けた男がニヤリと笑っていた。
その男に愛は身に覚えがあった。
あの時の男~やっぱり気のせいなんかじゃなかった。春彦と一緒にパン屋に並んでいた時にじっと
私を見ていた。あの恐ろしい目であの男が何で?
うちに?私はストーカーされているのか?まさかね
私はあんな恐ろしい目をした男に知り合いはいない
恐怖を感じた愛はチェーンを掛けたまま部屋の中に逃げた。すると玄関のドアを男は叩き始めた何度も何度も。
愛は「ぎゃー止めてー」そう叫んでいた。
すると玄関の外から黒ずくめの男が何かアイスピックのようなものでドアを刺しているような音がした。
そしてアイスピックようなものでドアを傷つけているようなギーギーという音がなっていた。
いったいあの男は誰なのだろう?
愛は春彦に早く来てほしいと願いながら部屋の中で震えていた。
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