過去

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春彦は愛と管理人に言った。 「愛、管理人さんとにかく警察に電話するとあの男は危険なんです。管理人さん後ろ」 管理人は後ろを振り向いたが、男の姿はもうなかった。 「愛、逃げよう。でも、どこに逃げたらいいんだろう?」 「愛、後ろを見ろ!」 春彦に言われて愛は後ろを振り向いた。 その時、愛には黒づくめの男が霧の中に消えて行ったように見えた。 春彦は愛に言った。 「愛、今度の週末の土曜日~新宿ディナークルーズカンパニーホテルの一階レストランに19時に来て くれないか?大切な話があるんだ。黒づくめの男の話しもきちんと話すよ。今日は家に帰った方がいい男の姿はもう見えないみたいだし、管理人さんには俺がきちんと話してから」 愛は春彦の事が心配にだった。 「春彦~本当に大丈夫?」 「俺は大丈夫だよ。家を片付けないとね」 春彦はタクシー乗り場に行って愛を自宅に送る為 自分もタクシーに乗った。 自宅の住所を言ってタクシー運転士は住所を入力してくれた。 二人は今日はこれであの男の事は心配しないで済む 一時的であったとしてもあの男の事を忘れられる そう思うと二人はほっとして疲れがどっと出ていた。 ところがタクシーの運転士は二人に呟いた。 「お二人さん。黒づくめの男に追いかけられて大変でしたねー。あいつは逃げても逃げても追い掛けて来ますからねー。私も大変でしたよ。始めは私が追いかけられていると思ってましたのでね。でも、 追いかけられていたのは私の妻だったのでね。 だから私は生きているんですよ」 二人は運転士に聞いた。 「あなたは黒づくめの男を知ってるんですか?」 「追いかけられたのが妻だから自分が生きているって?」 運転士は言った。 「あの男に目をつけられると死んでしまうんですよ。あの男は~」  春彦は言った。 「この先は言わないでください。もう降ります。 停まってください」 運転士はタクシーが停まれる道路の端に車を停めて お金を貰った。 二人は自宅の少し手前でタクシーを降りた。 愛は「もしかしたら?二人のうちどちらか?一人が狙われているのかも?知れない?春彦大丈夫?」 春彦は何かを知っているのか?ガタガタと青い顔をして震えていた。
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