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新宿ディナークルーズカンパニーホテルの一階の レストランスミレに春彦と愛は来ていた。 二人は店員に席を案内された席に座っていた。 「愛、今日は来てくれてありがとう」 春彦は愛に言った。 「春彦~こんな高そうなフランス料理のお店なんか私~場違いじゃないかしら?」 愛は言ったが春彦は「そんな事ないよ。愛は高校生の頃からずっと綺麗だったよ」 「ところで話って何?」 「まずはフランス料理のフルコースを頼んでおいたよデザートの時に全てを話すよ。ほら前菜が運ばれて来たよ」 レストランスミレの従業員は前菜の季節の野菜を 運んで来た。 「前菜の季節の野菜です。ブロッコリーとアスパラガスのオリーブ和えでございます」 「春彦~美味しい!こんな美味しいソース初めてこれ、オレンジソースね。野菜と、とても合うわ」 「それは良かった。愛はいつも美味しそうに食べるね」 春彦はいつものように愛が美味しそうに食べる姿を見て嬉しそうにほほ笑みながら愛をじっと見ていた。 「春彦そんなに見ないでよ!恥ずかしい」 愛は頬を赤く染めた。 料理はポタージュ パン 牛のステーキ  魚のテリーヌ と続いていよいよデザートになった 春彦は従業員を呼んだ「お願いします」 従業員は春彦と愛のテーブルに沢山のフルーツが 乗ったポールケーキを運んでくれた。 「春彦~二人でこんなに食べられないわ」 愛がそう言うと春彦は「これはね、後でここにいるお客様全員に僕から分けてあげようと思うんだ。 お祝いになったらね」 愛は「お祝いって?誕生日でもないしな~何のお祝い?」不思議そうな顔をして春彦の顔を覗き込んだ 「愛、僕達は高校二年生の時同じクラスになってからずっと付き合っている。これはきっと運命なんだと思ってる。ずっと気持ちが変わらないまま僕達は25歳になってもこうして付き合っているんだから 僕は君以上の人にはこれからもずっと出逢わないと 思うんだ。だから僕と結婚してほしい」 春彦は頬を赤く染めて愛に言った。 愛は涙を溜めて「勿論オッケーよ」そう答えた。 レストランスミレの従業員は全員拍手をした。 そして、ケーキを切り分けレストランのお客さんに配っていた。「これは、あちらのお客様がプロポーズがうまくいった記念にと配ったスイーツです」と一言添えて、レストランのお客さんは皆、愛と春彦の方を一斉に見て「おめでとう」「ありがとう御座います」「ケーキ美味しいです」などの声がレストランに響き渡った。 その後……レストランの店長が愛と春彦の側に来た。そして他の御客さんにも聞こえるような声で言った。今日は閉店までお店を貸し切りにしましょう。 その一言で貸し切りになったレストランスミレでは音楽を掛けて他のお客様とダンスをしたり、 歌を唄ったりして楽しんでいた。 店長はお祝いだと言ってシャンパンをお客さんに振る舞った。 こうなるとは考えてもいなかった春彦は黒づくめの男の話を愛にプロポーズの後に話す予定だったが 話す機会を失ってしまった。 愛もすっかり酔っぱらいながらダンスをして楽しんでいた。 仕方がない……。愛も楽しんでるし……。明日、 黒づくめの男の事を話すことにしよう。なるべく 早く話しておいた方がいい。 春彦は愛に明日話す事にした。
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