十八夜

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「狂暴じゃのう、ゴリラ吸血鬼は。けど、これなら花子の護衛くらいにはなるじゃろ。心配なら血を半分くらい抜いてから送り出せばええんじゃ。血の気が多いから9割がた抜いても支障なかろうが、吸血鬼の血は再利用できそうにないからのう。おまえ、ほんに無駄なもんでしか構成されとらんの」 「どこにもお出かけできない石っころに何を言われても遠吠えにしか聞こえないわあ。負け犬の遠吠えほどみじめなものはないもの。そこの駄犬と同レベルなんてああ、おかしい!おーっほっほっ!」 「なんでわしがそこの犬人間と同じ扱いされなあかんのじゃ!」 「俺の遠吠えなめんな!!コウモリ野郎!!」 木戸、見事な巻き込まれ方なうえに、反撃がとんちんかんなのが非常に残念。 華原さんとお地蔵さんの舌戦に割って入ってもいいこと一つもないぞ、木戸よ。 話が通じる人から説明してもらいたい。 てことで、俺は必然的にタカさんに尋ねることになった。 「何がどうなってそんな案が出たのか教えてください」 「まあ、今のやりとりでおまえが不安になるのもわからんでもないがなあ」 だよな!?不安になって当然だよな!? 「物語同士の世界の方が繋がりやすいのはおまえもわかっとるじゃろう?」 それは何となく。 白雪姫とシンデレラと眠り姫のプリンセスたちも王妃様方も王子たちも行き来しているみたいだし。 そこは物語の世界という性質が一緒だからなのかなとあまり不思議には思わなかった。
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