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「そんな・・・ああ・・・」
え、もしかして泣いている!?
鏡の答えがよほど衝撃的だったのか、継母王妃はその場でがっくりと膝をついていた。
そのままはらはらと涙を落とす。
そこまでショックを受けるってのは、何か理由があるんだろうか。
美食の問題じゃないのかな。
今ならミハイさんを呼んですぐ帰ることもできそうな気がしないでもないが、泣き崩れている継母王妃のことが気になる。
強引とはいえ、王子の兵に捕まらずに済んだのはこの人のおかげのようなもんだし。
俺が知っている程度の料理の知識でどうにかなるなら、一度だけってことで協力しても・・・
だって何か放っておけないじゃないか!
俺のこういう性分を周囲はお人よしというかもしれないが、目の前で泣いている人を無視できないんだから仕方ない。
「あの、王妃様。事情を話してもらえませんか。どうしてここの料理長ではだめなんですか?」
俺は、継母王妃に近づき同じように膝をついて話しかけた。
「何度尋ねても、鏡はこの世で一番美しいのは白雪だと言うのじゃ」
だろうな、そういう物語だ。
実際俺の店に客として来店した白雪姫は白く透明感のある肌が綺麗で、少し厚めの赤い唇が印象的な可愛らしい美少女だった。
けど、世界で一番美人かと言われたら、そんなことないと思うぞ。
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