1.きっかけ~野球とクイズ

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 暗号を、解く。  らいとと怜布の誕生日は共に7月で、たった2日違いである。  だから誕生日のお祝いはいつも2人分一緒だった。  らいとは特に不満はなかったが、怜布は「ケーキ1回分損してる」と毎年ブチブチ言っている。  問題は、プレゼントだった。  誕生会でケーキのろうそくを2人で吹き消した後、もらえるのはプレゼントそのものではなく、去年から暗号文のメモになった。  抄造の思いつきだった。  その暗号が解けなければプレゼントを手に出来ない。  去年はたどり着けずに、結局抄造が時効と称する夏休み明けにようやくもらえたのだが、夏休みに友達と交換するつもりだった便せんセットは間に合わなかった。  当然らいとも怜布も今年は必死になる。  今、らいとが手にしているメモには、抄造の達筆な筆書きで「0―3(ノースリー)の鎌倉」と書いてあった。
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