営業部二課

「丸山さんを呼ぶように」

課長が俺に言った。

「丸山さん」とは営業部二課係長の俺の新人部下の女性の事だ。
いや、入社2年目だから、既に新人ではないその女性社員は、入社して1年以上経つのに全く仕事が出来ない。
アパレルメーカーである我が社はデパートやショッピングモール、街のショップ等が販路であり、営業部二課はその中でも一流デパートを担当し、社内では花形で優秀な社員が集まると言われている。

それなのに去年、新卒で配属されて来た丸山さんは、呑み込みが悪く何度教えても同じミスを繰り返す。
普通なら、入社数ヶ月も経つと取引先のデパートで売り場担当者と商談くらいは出来る筈だが、丸山さんには全く任せられない。
1人で行かせた時に事もあろうに、約束の時間に遅刻し、俺は担当者に必死で謝った。

しかし、当の丸山さん自身は反省の色も無く、何故自分が怒られるのか理解出来てない風だ。

そんな調子だから、去年の販売実績を大幅に下回り、課長と2人で丸山さんに注意をする事になった。

場所は小会議室。