悪魔

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笠田side──────── いつもは他クラスより少し静かなうちの教室────。 でも、今日は少しガヤガヤとしていた。……HR中だが、今はクラスの連中が静かにする理由である麗人が不在だからだ。 ……彼がいる時に限り、うちのクラスは幾分静かになる。 理由は、なにが彼の地雷になのか分からないから。……つまり念の為の措置だ。うちのクラス限定の。 カラカラ────ッ HRはもう既に始まっていたが、平然と入室し席へ着いた白瀬さん(麗人)。 彼はその小さな顔や、小柄な割に長い手足でスタイルが良く、単体で見れば本来より背が高く見える。相変わらずの冷たい顔立ち、シャツまで真っ黒なうちの学ランを正しく着こなしていた。 うちの学校では殆どの生徒が制服を気崩しまくっており、凡そ『制服を着ている』と言える人間は少ない為、見る度に新鮮な気持ちになる。 にしても、彼が朝のHRに遅れるなんて珍しい。 ……というか少し機嫌が悪そうだ。遅れたことと関係があるのだろうか? 「……おい笠田、お前今日は朝の挨拶いーのかよ」 「いや、おま……流石にあれは無理だろ……!」 机に肘をつき、教師のいる方を向いているのに、どこか遠くを見つめるような冷たく虚ろな目。 彼こそこのクラスの麗人────白瀬(しろせ) スグリさん。 他校生が言い始めたという、『夜校の悪魔』と称される人である。 病的なまでに白い肌、艶のある黒髪。毒々しいほどに真っ赤な双眸は、ルビーのように深いのに、光に当たると鮮やかで…… ─────引き寄せられるのに、決して触れてはならないような怪しさがある。 作り物めいた顔立ちは巧妙な人形のようで、大きな瞳に小さな鼻、薄い唇。冷たく見えるのは元々の顔立ちのせいか、それとも滲み出る危険な雰囲気のせいか…… どちらにせよ、人間離れした美人であるのには変わりがない。 “悪魔”────··· 彼がそう呼ばれるのは、その怪しくも美しい外見からだけでは無い。 ────その強さと異常さだ。
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