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開口一番、理桜が何処にいるか知っているか聞けば、シオンからは『もちろん知ってるよ。もしかして、会いに行くのかい?』と、電話でも相変わらずの鋭さを発揮した返事を貰えたので話が早くて助かった。 それに肯定を返すと今度は俺自身の現在地を聞かれ、『今から迎えに行くよ。駅前にロータリーがあるだろう?そこで待っておいで』とのハイスペックイケメンな返答を頂いた。ちなみに対応は紳士的だったが、断る前に問答無用で切られた。 かけ直しても繋がらなかった為そこで待機せざるを得ず、その後物静かな運転手が同乗する車で来てくれたシオンに拾ってもらい、このバーに辿り着いたのだ。 そして、やっとのことで理桜に会えて、時雨から聞いた発端の出来事についてや写真の件に関しての「俺やっぱ関係なくね」という弁解もとい抗議をしていた所、次第に理桜の表情に戸惑いが滲んで行った。 何やら勘違いがあったのか「え?兄貴、撮っていいって言ったんじゃないの?」や「ノリノリだったんじゃないの?」等、とんでもない事を言うものだから、そんな訳が無いだろうと思わず眉を顰めてしまった。ノリノリってなんだ、誰が言ったんだそんな事。 覚えがない、誰にも撮っていいなんて言ってない、と真剣に伝えれば、理桜はまさに絶句といった様子だった。そしてなんの躊躇いもなく、即座に「ごめん!!」と物凄い血相で謝られた。 理桜曰く、どうやら今回は時雨の紛らわしい言い回しに騙されてしまったらしい。 そして見ての通り、以前とは打って変わってこの落ち込みようである。 ちなみにその間シオンは空気を読んでくれているのか、静かに携帯をいじって待機してくれていた。今も時折様子を見るような視線は寄越すものの、特に口を出したりはするつもりがないようだ。 シオン……送ってもらった上に気まで遣わせてほんとにごめん。
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