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……ていうか。 いやこれ、怒れって言う方が無理だろ、既にすごい反省してるし。 「理桜」 「…………なに?」 呼びかければ、淡く優しい赤色の瞳が不安げに揺れた。 でも、勘違いとはいえ理桜が怒った理由なんて、ほんとうに俺にとって些細な事なのだろう事は予想が着く。 それも多分、今回もだいぶ可愛い感じの理由なんじゃないかなと思ってしまえば、仕方がないなぁとお兄ちゃん思考に流れるわけで。 俺がアッシュ色に染められたややはね癖のある柔らかい髪をよしよしと撫でれば、理桜の切れ長な猫目はキョトりと丸くなった。 「…………怒ってないの?」 「……ない」 「なんで? 俺、酷いこといっぱい言ったのに……」 た、確かにいつもよりだいぶ……その、過激だったけど……口調とか、ニュアンスとか。 しかしそれは仕方がない。あんなに興奮していては、口調なんて気にしていられなかっただろう。 「馬鹿って言ったし、連絡も無視したし……」 「…………」 それは……うん、結構ダメージ食らったかなぁ。 ……なんて、理桜に言ったら落ち込むから言わないけど。 俺は理桜の所々はねた髪を撫で付けるようにしながら、口を開く。 「…………なんで、怒った?」 「写真…………兄貴の寝顔のやつ」 そう呟いて俯いて理桜は気まずそうな表情になったが、どこか不貞腐れたように口を尖らせた。 「……撮っても怒られないのも、いいよって言われてたのも……俺だけだったのに、って」 ……あぁほら、やっぱり可愛い理由だった。 「でも、勘違いだった。アイツに……兄貴に、俺の特権奪われたって思って……」 それで爆発しちゃった訳だ。 流石に無視とかは勘弁してくれと思わないでもなかったが……いや許すけど。理桜だし。 俺も以前、時雨や川崎先輩からの鬼電された際、連絡全てまるっと無視を決め込んでしまった前科がある。正直人の事言える口じゃない。 「あのさ…………ほんとにごめん、兄貴」 ていうかあれだろ?つまり、今回の件をものすごく簡単にまとめると、理桜が『お兄ちゃんを取られた』という嫉妬に駆られた結果、という訳だ。 可愛すぎだろうもう全部許す。 俺がその後、シオンがいるのもお構い無しに、理桜を猫っ可愛がりしまくったのは言うまでもない。 ちなみにその間シオンは、なにやら携帯の画面を楽しそうに眺め一人、クスクスと笑っていた。何か面白い事でもあったんだろうか。 そして、俺が散々可愛がっていると理桜が「兄貴がめっちゃ世話焼いてくれる」とか「もうずっっと笑ってる可愛いいい」とか悶えるものだから、やっぱ多分理桜も俺の事だいぶ好きだよなとか自惚れしまったのも仕方ないと思う。
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