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だから『時雨さんの幼馴染みなら、溜まり場来るかもしれないよな!ここで待ってればいつか会えるかもしれない!』とか、健気に待っている訳だ。が、それは本当に、どこまでも一方通行なものだ。
……白瀬はこいつを認識すらしていないと言うのに。
「チッ……出ねェな……」
「?……珍しいな」
まぁ、白瀬からの認識に関しては、当たり前だが通っている学校の違いと、あいつが未だにこの溜まり場へ一度も訪れたことが無いからだが。
果たして、この一年俺の誘いを嫌がり続けた白瀬。
俺としては逆になんであれほど嫌がるのか分からないが……あの様子じゃ、これからだって来る保証は無いだろう。まぁ、それで不安になってるんだろうな……
こいつ変に一途なんだよな。…………笠田に似たのか?
プルルルルル、プルルルルル──プッ──
何度かかけ直して暫く。
ようやくコール音が途切れ、通話が開始された時特有のノイズ音が聞こえ、知れずため息が出る。
……まじで遅せぇよ。
「おい、白瀬」
『……』
「近々溜まり場来い。バーの方だ」
『…………』
「一度でいい。顔出せ、いいな?」
『…………やだ』
「は…………?」
ブツ──────
「ッ!─────切ってんじゃねェよ!!」
もう一度かけ直すが、出ない。
……わざとだな。
舌打ちをしつつ何度もかけ直す。
白瀬のあまりに取り付く島もない行動で完全に血が登り、俺は既にヤケクソになっていた。
ただ顔を出すだけだろう?何が嫌なんだ。
自分の電話に出ない白瀬にイライラしていると川崎から呆れたような声がかかる。
「時雨……嫌われんぞ?」
「えっ……時雨さん!?俺のせいで嫌われるとかやめてくれ!……です」
「……別にお前の為だけじゃねェよ。どうせ他の奴らも会いたがってんだし」
学校外での遊びに誘うと一際嫌そうな顔をする白瀬。
帰ってから何かしたいことでもあるのか?
あいつの事だし……勉強とか、本とかか?
俺には理解出来ねぇな。
俺もあいつも長男じゃねんだし、遊び呆けてりゃいーのに。
白瀬は電話に出たとしても無言が多く、メールは多方面から来るのが面倒なのか誰のものも見ないらしい。まぁ……これはアイツの兄貴情報だが。
だから、返信はいくら送っても返ってこないから送っても無意味だ。
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