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俺は携帯の画面を人睨みしてから、視線を川崎に戻す。
「………………」
「…………俺のせいじゃねーだろ?」
「俺はそこまで横暴じゃねェ」
「…………………」
「お"い……変なトコで黙ってんじゃねェよ」
呆れた顔をして肩を竦めた川崎は、近くにあった水を龍心に渡している。
当の龍心はと言えば、俺からの電話にすら出なくなった白瀬にまた間接的にショックを受けたようで、泣きっ面が更に凄いことになってやがる。
笠田は笠田で、呆れたような顔を弟に向けつつも、元気付ける為なのか、何か飯を勧めてやっていた────が、泣いてるやつは食えんと思う。
おいおい……やめとけよ、喉に詰まんだろ。バカなのか?
…………あぁ、バカだったな。
俺はため息をついてまた携帯の画面に視線を落とした。
白瀬は……自分が怯えさせた不良をみて初めて笑顔を見せるようなヤバイ奴だけど、俺がガキだった頃にやったマフラーを毎年大事に使うような可愛いところもある。
決して優しい奴では無いし、愛想が良い訳でもない。
それに強い癖に不良じゃねぇから族には入ってくんねぇ、そんで携帯で文字ばっか読んでやがるクソつまんねー奴。
けど……
今まで俺が付きまとっても、嫌そうな顔はするがやり過ぎなければ逃げる事も無かったし、機嫌がいい時……なのかはあの無表情じゃ判断できねぇけど、まぁ気分が乗りゃ言葉を返してくれた。
あの滅多に喋らないやつが、俺にだけ返事をしてくれるようになったもんだから、それも嬉しかった。
長年付きまとってウザかったはずなのに、なんで他の奴らより気を許してくれたのかわかんねぇけど……そこは白瀬ルールなんだろ。
そうだ。なんだかんだ、拒絶はしないでくれていたんだ。
今までは────────。
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