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今度は希望の実家に。希望も撮影が終わり次第、ここに来るようなので待たせてもらって一緒に帰る。
「みっちちゃん、こんにちは」
希望の甥っ子の悠太くんが、挨拶をしながら私に抱っこをせがむ。
「ゆうちゃん、大きくなったねー」
「うん」
前よりもたくさん会話が続くようになったし、一人でよく喋るようになった。
希望のお母さんと、妹の恵ちゃんにも写真を見せた。
「わー、美樹さん綺麗! ゆうちゃん、見てごらん。みっちちゃん可愛いねー」
恵ちゃんがそう言うと、ゆうちゃんも「みっちちゃん、かわいいねー」と真似する。
「あ! のんちゃん! これ、みっちちゃん、と、のんちゃん!」
ゆうちゃんは写真を見て、私と希望の顔を指差して名前を呼ぶ。
「希望は……あの子はちゃんとやってる? わがまま言って美樹さんに迷惑かけてない?」
希望のお母さんが心配そうにこう言った。
「私の方がダメな部分が多くて……希望ちゃん、凄くしっかりしてて頼もしいです。たまにわがまま言われた方が、私は嬉しいですよ」
「美樹さんの方が歳上だから、甘えさせてもらえるもんね。いいなあ。でも姉ちゃん、甘えるの苦手そう」
恵ちゃんによると、希望は長女だから、人に甘えるのが下手だということだった。いや、私といる時はものすごく甘えん坊ですけど?
そういえば希望が長女で、私は末っ子だったわ。人前ではしっかりしてても、私が歳上だから、希望は甘えられるのかな。私も希望に甘えられると嬉しいし。こういう兄弟構成だから、私たちは上手くやっていけるのかしら。
そんな話をしていると、希望から連絡が来た。絢香さんの店でご飯食べて帰ろうと誘われた。希望は実家に寄らなくていいのかしら……。
「あの子はそういう子なのよ。私たちに美樹さんの顔を見せたかったんじゃないかしらね。だから大丈夫よ。またいつでも来てね」
ゆうちゃんにバイバイしようと思ったら、意外なことを言われた。
「みっちちゃん、ぼくもつれてって」
そう言って、恵ちゃんにジャンバーを出してもらって靴を履こうとした。
「みっちちゃんはお家に帰るのよ」
希望のお母さんがそう説明した。
「みっちちゃんのおうち、どこ?」
「電車に乗って行くのよ。でも近いからね。今度遊びに来てね」
「みっちちゃんのおうち、あかちゃんいるの?」
「え? ……いないよ」
大きい赤ちゃんみたいな希望はいるけど……ゆうちゃん、どういう意味で聞いてきたんだろう。びっくりして上手く答えられなかった。
玄関を出ようと思ったら、やっぱりゆうちゃんが出てきて手を繋いできたから、仕方なく一緒に絢香さんのお店に連れて行った。
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