第12話 狼は牽制する

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その速さはオリンピックに出場できるんじゃないかってくらいかってくらいの瞬発力だった。 「見た目は? 職業は? 性格は?」 「そうですね。結構、見た目よりも嫉妬深くて、ケンカも強いし、浮気なんかした日にはなにが起こるか、わかりませんよ」 「ほーう。そんな人かい!」 「はー、みっちゃん。愛されているんだね」 「確かにこの仕事をしていると、休みはなかなかとれないし、勤務時間もバラバラだし。それくらい執念深くないと、続かないかもねぇ」 「マリアステラ学園勤務だと、外にも出にくいのにそれでもいいなんて寛大な彼氏でいいじゃないか!」 これは、私にだけわかる泉地からの忠告だった。 浮気をしたらどうなるかわからないなんて、怖いんですけど…… 「経済力があるのなら、いいけどね」 「安定した職業なのかってのも大事なんだよ」 高校生に経済力なんて求めてもね。 現実の話をよく聞いておきなさいよと、泉地をちらりと横目で見た。 「ボディガードの仕事をしているので、毎月給料は支払われていますね」 ―――初耳だった。 給料って高校生でしょ!? それもボディガードって物騒すぎる。
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