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町にはマリアステラ学園で働く教師やスタッフ達のアパートがあり、そこで外と変わらぬ生活を送ることができるようになっていた。
なにからなにまで至れり尽くせり。
この学園は特別だから。
獣人には女性が生まれず、人間の女性なら誰でもいいわけではなく、適合者でなければ子供ができない。
学園は数少ない適合者を保護するための施設でもある。
適合者への特別措置はそれだけじゃない。
政府は適合者を守るため、適合者の家庭には月々の生活費が支給される。
家族三人が余裕をもって暮らせるだけの金額でそれだけ適合者にたいして手厚いのは獣人達がすでにこの国の重要な地位を占めているからだと言われていた。
とはいえ、私のようなしもじもの存在に関係ない話。
「誰が上だろうと下だろうと関係ないわ」
帰り道にある自動販売機で冷たいミルクティーを買って、桜並木を眺めながらアパートへの道をのんびり歩いた。
お花見気分で歩く私は春を満喫していた。
この時の私はまだ去年と同じ日々が続くことを疑っておらず、まさか自分が獣人と関わるようになるとは思ってもみなかったのだった。
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