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「おばちゃん、ラーメンひとつ」
「おばさん。カツ丼大盛りで」
―――誰がおばさんよ。
そう思ったけど、相手は高校生。
いちいち訂正するのも大人げない。
それに高校生から見たら私なんておばさんに見えてしまってもしかたのないことよ。
私の名前は篠坂美知。
今年二十五歳の独身。
彼氏なし。
獣人と適合者が集まるマリアステラ学園の学食で働いている。
高校生からはおばさんなんて呼ばれちゃう私だけど、学食の中では一番若いんだから。
「はい。お味噌汁どうぞ」
今の時間、私は味噌汁係。
若いから前に出る仕事がいいよと言われて、面倒な仕事を押し付けられがちである。
今日は味噌汁か中華スープかセレクトだから、自分から言ってこない生徒にはどちらがいいか聞く必要があった。
ほんっとうまいこと仕事を押し付けるんだから困ったものだわ。
けど、それに勝てない私もまだまだってことよね。
私が学食で働きだしたのは高校を卒業してすぐのことだった。
最初のうちこそ仕事を覚えるのに苦労したけど、今では仕事にも慣れてすっかり周りに溶け込んで馴染んでいた。
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