第2話 私の日常

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私が働くマリアステラ学園は獣人と適合者(マリア)の女性を交流させ、獣人が花嫁を選ぶための場所である。 獣人は人間の―――それも適合者(マリア)でなければ、生まれないという。 普通に暮らしていれば、どこにその適合者(マリア)がいるかわからない。 効率よく獣人を適合者(マリア)と出会わせる場所がこのマリアステラ学園なのだ。 そして、適合者(マリア)を保護する場所でもある。 「今年の一年生の獣人はここ数十年で一番の年じゃないかねぇ」 マリアステラ学園の学食で働いて四十年という古株のおばちゃんが昼の賄いを出しながら言った。 お昼の賄いは麻婆豆腐と麻婆ナスの丼ぶりにからあげのせ丼。 そして、春雨にキュウリや卵をいれたさっぱりとした酢の物がついている。 味噌汁と中華スープ、お茶やコーヒーはセルフで好きなものを自分で持ってくる仕様で、余ったおかずは皿に好きなだけのせて食べられるという体重増加必至のシステムだった。 もちろん、なにもない日もあるのでそういう時は残り食材から適当になにか作る。 食材ロスを減らすためギリギリで作っているから、今日はまあまあ残っているほうだった。
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