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「近いうちにキング以下六名が変わるよ」
まるで予言者のように古株スタッフは告げたのだった。
狼の獣人といえば、狼谷泉地。
優秀だと聞いていたけど、すでに上位六名の候補者として名前があがるくらいだとは思いもしなかった。
「あんなぼんやりした子が?」
うっすらと記憶にあるのは茶色の前髪が目にかかり、眠そうな顔でこちらを見ていたことくらい。
獣人だから、イケメンはイケメンだったけど、ぼっーとしているイメージのほうが強かった。
「ん? みっちゃん、ぼんやりって誰がぼんやりなんだい?」
「えっ!? なんでもないわよ。春はぼんやりしがちだなって言ったのよ」
危ない、危ない。
ここでよけいなことでも言おうものなら、『みっちゃんのタイプはあんな子かい?』『よし! おばちゃんがいい人探してきてあげようね』なんて流れになってしまう。
「ごちそうさま。私は早番だから、もう帰るわね」
朝食担当は朝が早い。
お昼の賄いを食べたら一日の仕事が終わる。
仕事が終わった私が帰る場所はマリアステラ学園内の町だった。
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