退屈で退屈で退屈な少女の冒険、あるいはボーイングビリーの森

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 学校を離れる時もコロナ騒ぎのせいでお別れ会なんてものもなく――ちょっと前はクラスのみんなでちょっとしたパーティ(飲食はなし。子供会的なあれこれ)が開かれてたのに――、なんとなくクラスの前でサヨナラをいってそれでおしまい。わたしの浦安ライフは小学校三年生にしてあえなく終わりを迎えた。  ベランダから海を臨むロケーションに建っていたマンションをきれいさっぱりからっぽにして、我が家は森の中の一軒家に移った。  中古の家にしてはきれいだけど、ちょっとお化けが出そう。そんな家。元々別荘みたいだから、たぶん出るとしたらお金持ちの幽霊。  今はお父さんもお母さんも留守中で、お兄ちゃんは部屋でロックを聴いてる。大音量で聴いてるせいで、壁一枚隔てたわたしの部屋にも響いてうるさい。  ごんごん、と壁を叩いてみても、音楽は鳴りやまない。キープオンロッキン。  わたしは仕方なく部屋から出て、一階に降りた。  紅茶でも淹れようかな。数分の暇つぶしにはなる。  戸棚から紅茶の缶を取り出す。
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