退屈で退屈で退屈な少女の冒険、あるいはボーイングビリーの森

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 缶には英語が書かれてるけど、わたしには読めない。でも、イングリッシュブレックファストティーって書いてあるということは知ってる。前にお母さんに聞いたから。赤いフタの缶は、イングリッシュブレックファストティー。  “イングリッシュ”はイギリス人で、“ブレックファスト”は朝ごはん。だから“イングリッシュブレックファストティー”を日本人であるわたしが昼過ぎに飲んでいいものか、疑問が残る。  わたしは戸棚からもう一つの缶を手に取った。アールグレイってやつ。さっきの缶とはフタの色が違う。このフタは薄汚れたような渋い緑色。  “アール“はアルファベットで、“グレイ”は灰色。だから“アールグレイ”はたぶん、灰色の一種。なんでが紅茶の名前になってるのか、そこまではわたしにだってわからない。  そして最後にもうひとつ、ディンブラの缶も手に取った。  “ディンブラ”の意味は、なんのこっちゃ。  三つの缶を並べ、すべてのフタを開ける。
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