退屈で退屈で退屈な少女の冒険、あるいはボーイングビリーの森

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 スプーンでイングリッシュブレックファストティーのリーフをすくい、ポットに入れる。さらにアールグレイ、それからディンブラをそこに加えた。わたしだけのオリジナルブレンドティー。  どんな味がするかな。  お湯をポットに注ぎ三分と三十秒、きっかり待つ。  待ち時間は何もすることがなくて、わたしはくだらないことを考える。  ポットにもっといろんなものを入れられたら楽しいのにな、って。  アメとかマシュマロとかを入れてみたら、どんな味になるだろう。お母さんに怒られるからそんなことできないけど。でも、頭の中で想像するだけならいい。お父さんの胃薬、カレー用のスパイス、どんなものを入れたって怒られない。頭の中でなら。だからわたしは色んなものを混ぜてみる。蝶々の卵、蛇のぬけがら、サソリの毒、どんどん入れちゃえ。  教頭先生の目ん玉とかは?  じりじりとタイマーが鳴って、もう完成。  淹れたての紅茶。  期待をしすぎず飲んでみよう。がっかりするのは嫌だから。  うん、ふつうの味。奇抜さもなければ新鮮さだってない。  平凡な紅茶をあっという間に飲んでしまう。そしてわたしはまた途方に暮れた。
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