退屈で退屈で退屈な少女の冒険、あるいはボーイングビリーの森

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 ボーイング、  ボーイング、  ボーイング。  ボーイングって、“退屈”って意味の英語。  スカルは骸骨。スカーレットは赤の一種。わたしはチャイルド。わたしがたくさんいたらチルドレン。デイアフタートゥモローはあさってで、あさってというだけでも英語だったらひと苦労。魔女はウィッチだけど、もウィッチ。  でもとにかく今は、ボーイング。  一月に引越しをして、それからすぐにわたしは新しい小学校に通いはじめた。友達もできずに二ヶ月が経ち、春休みに突入。  どこにも行きたくないし誰にも会いたくはないしテレビは地方局ばっかり。最悪の春休みを過ごしてるところ。  ついこの間までは千葉県の浦安市ってところにいて、わたしは死ぬまでずっとここ浦安に住んでやるんだって決めてた。東京には近いし海もあるし買い物にも困らないし、なにより地方局を見なくて済む。  だけど子供の決心なんて“大人の都合”の前では何の価値もなく、聴く耳を持たない両親のせいでわたし達家族は長野県北佐久郡軽井沢町に引っ越すことになった。  そもそも、お父さんとお母さんがわたしの話を真剣に聞いてくれたためしがない。
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