Ⅰ 転校生

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Ⅰ 転校生

 大都会、東京。  そこに存在する、とある学校があった。  しかし、大都会だからといって何かがすごいわけではなく、この学校は至って平凡。何の変哲もない。  その、何の変哲もない学校に転校生がやってきた。  先生の指示で教室に入って来たその人物。  中性的な見た目に、清く正しい佇まい、制服に一切の着崩しがなく、口元には微笑を浮かべていた。 「初めまして。ボクの名前は天羽四音(あまはしおん)。親の都合上、ここに転校してきたんだ。基本敬語は苦手でさ、だから皆にも普通に接してもらえると助かるよ。」  自己紹介早々敬語を使わないという、佇まいに見合わないファーストコンタクトであった。  それでも、別に悪印象というわけではなく、むしろ好印象にクラスはとらえたのか、その後の拍手は盛大なものであった。
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