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Ⅱ ストーカー
暗い夜。静けさに包まれた、住宅街。
そこに、一人の少女が歩いていた。
何故こんな夜に制服を着た少女が一人、暗い住宅街を歩いているのかというと、塾があったため帰りが遅くなったからだ。
こんな不気味な暗い夜、私だって歩きたくない。
でも、親は仕事で同じく帰りが遅いから迎えに来てくれる人はいない。だから必然的に、一人で帰らなくてはならない。
やはり、暗闇にはいつまでたっても慣れない。
だって、怖いじゃないか。
でも、私が恐れているのは、幽霊とか非現実的なものではなくて――
耳を澄ます。
ふと、足音が聞こえた気がした。
あからさまに後ろを振り向く。けれど、誰もいない。
(ほら、誰もいないじゃない…。大丈夫よ、誰もいない。後ろには、誰もいないんだから。)
私は自分に言い聞かせるようにして、耳を澄ますのを止める。
でも、暫くするとその音は耳を澄まさなくても聞こえてくるようになる。
明らかに、何かいる。
認めたくない。何かいるだなんて。余計怖くなってしまう。
けれど、後ろには確実に何かいる。
そうと分かると、怖さから歩く速さも早くなる。
しかし、それを面白がるように足音も早くなる。
ぴったりと私の足音に合わせて、別の足音が重なっている。
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