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四音に頼めば、ストーカーのこともなんとかしてくれるんじゃないだろうか?
そう、だって何でも屋なんだ。
お金は、持っていないけど。
この際、証拠さえ掴んでもらえれば親に提示して親からお金を払ってもらおう。
それぐらいすれば、流石に親も納得してくれる。
そうと決まれば、即行動だ。
放課後になると、相変わらず人ごみに囲まれている四音の元へ向かう。
「あ、天羽さん!」
人ごみの中でも聞こえるような大声を出したせいか、生徒の視線が一気に私に集まる。
「せ、先生が…呼んでたよ…。」
思わず私の声も小さくなる。
しかし、四音にはしっかりと聞こえていたのか、笑顔で返答してくれる。
「本当かい? 分かったよ。今行く。」
人ごみは落ち込んだように去っていく。
廊下に、静けさが戻る。私の心にも、安堵が生まれる。
「先生は職員室かな? すまない、ボクまだ職員室の場所が分からないんだ。もしよければ、だけど…。案内してくれると助かる…。」
申し訳なさそうに声を落とす。
嘘を吐いた、という罪悪感が私を襲う。でも、言わなければならない。
「ごめん、それ、嘘なんだ…。」
俯き加減に言う。
今は四音の顔を見たくない。
「そうか…。じゃあ、もしかして個人的にボクに用かな?」
嘘を吐かれたというのに、四音は嫌な顔一つしていなかった。
人柄の良さがにじみ出る。
「うん…。天羽さんって、何でも屋でアルバイトしているって聞いて…。その、私も、頼みたいことがあって…。」
嘘を吐いた上に、頼みごとをするのは気が引ける。
でも、それでも、もう希望は四音にしかないと思った。
しばらくの沈黙。やはり、駄目なのだろうか。
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