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「じゃあ、私もそうしようかな! でも、何をあげたらいいのか分からないけど…。私高価な物なんて親に持たせてもらえないから…。」
交換する物がなければ、意味がない。
すると、紫音はふと私を上から下まで眺め出した。
(物々交換する物を決めてるの…? でも、高価な物なんてないのに…。)
暫くの沈黙の末、四音は口を開く。
「じゃあ、ボクはこれを貰おうかな。」
そう言って指を差した先にあるのは、私が腕につけていたブレスレットだった。
私は思わず隠す。
「ご、ごめん! これは、駄目…。」
これは、駄目だ。
私が、何よりも大事にしているもの。
このブレスレットは貰い物だった。
大切な人から、貰ったものだった。
しかし、四音も引く気はないようだ。
「でも、そうすると依頼は受けられなくなっちゃうかな…。」
(そんなにこれが欲しいの…? これだって、確かに私が大切にしているものだけど、高価じゃないわ。)
でも、私だってこれは渡せない。
「その、他の物じゃ駄目なの?」
四音は、苦笑しながら頷く。
しかし、理由は言わない。触れて欲しくないところなのか、よく分からないが、私もその話に関与してはいけない気がした。
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