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「そんなん、考えすぎやわ! それより私、無性にポテトチップスが食べたいんやけど?」
「あかん! 羊水が油にまみれるから」
「そんなわけないやん」
妻は笑いながら、出かけていきました。おそらく、近所のコンビニです。
「ちょっと待ってや~」
慌てて追いかけました。夜分に、大きなお腹で歩いていて、何かあっては大変ですからね。ふたりで肩を並べてコンビニへ。もちろん手は、恋人繋ぎです。オレは、妻にベタボレなんですからっ! 正直、子どもはいらないと思っていました。妻が子どもに心を奪われるからです。でも、大好きな妻の希望ですから、やむを得ないです。
ポテトチップスと飲み物を買って、帰ってきました。話題と言えば、娘の名前のことです。
「ベタに『はる』とかどう? 案外、かぶらないかもよ?」
「はる。あ、うちのひぃばぁちゃんとかぶってるし!」
「う~ん。春生まれの女の子やし、花の名前は」
「チューリップか? それこそキラキラネームやんか」
「アホ。桜とか、すみれとか」
「なんか古風やな」
「直樹こそ、今風の、キラキラネームつけたいんちゃう?」
「いやいや。『栗』って書いて『マロン』とか無理やし」
「そんな名前ないやろ」
結局、今夜も結論は出ず。最近、毎晩こんな結論の出ない討論会が開催されている佐藤家でした。
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