或る骨董店の客

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「あなたの夫はどこにいるのですか?」 「あ……」  女は喉をのけぞらせ、喘ぐような声を出した。  店主の声は冷たい。 「どこに?」 「……納戸の……お婆様にいただいた行李に……」 「どうして?」 「大切なものはすべて、そこに入れているから」 「なぜ、そんなところに?」 「私が……」  女の目から涙が零れる。 「殺した」
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