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なめらかな足取りで奥へと進む店主を女は追いかける。古い板張りの廊下が悲鳴を上げるようにぎいぎいと軋んだ。
女は駆けているが店主に一向に追いつかない。足を滑らせ、転びそうになりながら、裾を乱して女は店主を追った。
目も眩むような長さだ。
途中にある苔むし湿った岩の並ぶ地味な庭には目もくれない。
延々と言葉もなく、追いつ追われつ進む。
やがて先の見えないかと思われた廊下が突然曲がりくねる。
店主が渡り廊下へと折れるのに女は続いた。
走れど走れど追いつかない。
女は次第に汗をかき、知らずコートの前ボタンをひとつふたつと外していった。
背後を気にする気配もなく、店主は涼風でも受けている風情で奥へと向かっていく。
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