Act 0 〜Prologue〜

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当たり障りない文章から一転して、 『この度、諸般の事情により3月31日の営業を持って廃業いたすこととなりました』 『つきましては内定を取り消しさせていただく運び』 という、笑えるに笑えない文章が目に留まる。 つまりはこれって……4月からの就職先がなくなるってこと……? 例えそうだとしても、流石に何か救済措置が取られているはず……って、何もないじゃん!! メールを最後までしっかりと確認したが、それ以上の情報はなくて、どうやら泣き寝入りするしかない状況。 付き合っていた彼氏は音信不通で、決まっていた仕事の話もなくなり、これっていわゆるどん底……? いやいや、どん底の人間は這い上がるしかないんだ! 来月からは実家からの仕送りもなくなるし、取りあえず生活のために割のいいバイトでも始めなくちゃ! 頑張れ私……!! そう一念発起して意気込みながら、床に思いきり足を踏み込むと、バキッと大きな音を立てて床板が破損した。 床に30センチ四方くらいの穴が開いてしまい、これには流石の私も笑えない。 家賃のわりに綺麗で広い部屋だったが、築年数が意外と経過しているが難点だった。 これは大家さんに連絡をしないと……。 そう思って破損状況を確認しようと中を覗き込むと、見えてはいけないような建物の床下の土台のような部分が見えた。 そして、そこには数多くの…… 「きゃあ!!虫ー!!」
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