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これは一旦、実家に帰るべきなのかな……?
でも、あの田舎で、何の取柄もない私が仕事に就けるイメージが全く沸かない。
実家に戻りつつ東京で就職活動?
電車で片道2時間もかかるのに、そんなのやっていたら貯金が秒で尽きてしまう。
何か、いいアイデアはないだろうか……?
ぼんやりと空を見上げながら考えながら、あてもなく街中を歩く。
誠さんに相談してみようかな……って、駄目だった。
彼は今、音信不通の状態なのだ。
ああ、誠さんに会いたい……。
禁断症状なのか、道行く人が全て彼のように思えてくる。
タクシーに乗ろうとしているサラリーマン、手を繋いで歩く親子、スマホに夢中な女子高生。
肩を組みながら熱々の様子でいちゃついているカップル………って、あれ?
本格的に目がおかしくなったのかと思って、何度か瞬きをして目頭を抓んでみる。
全てが誠さんのように見える現象はなくなったけれど、カップルの男性はどうみても誠さんのままだ。
眼鏡をかけていなくて、髪型も少し違うけれど……。
「誠、さん……?」
私が駆け寄って近づき、そう名前を呼んでみると、彼は明らかに驚いたような表情をしたが、何も言ってはくれない。
すると、一緒にいた女性が彼に話しかける。
「亨、知り合い?」
「……いや、知らない人だよ」
そう言って、避けるように目を逸らして女性の腰に手を回して、足早に去ろうとする。
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