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すると、彼女は私を慰めるように、なれなれしく肩に手を乗せながら言う。
「扱いやすそうな可愛い女の子に目を付けて、偶然装ってナンパするの、この人の趣味みたいなもんだから」
「……」
「そういうことだから、ご愁傷様」
そういうことって……。
そんな話、納得できるわけないじゃない!!
私のことなど相手にもせずに颯爽と立ち去っていく二人に、どうしても伝えたいことがある。
「ちょっと待って!!」
「まだ何か?」
「お金……返して下さい」
「は?何のこと?」
「惚けないで!お父さんの入院費用に充てるって、10万円貸したじゃない!!」
横柄な態度で渋々返事をしてくる彼を、睨みつけながら声を荒げる。
学生の私にとって、バイトで貯めた10万円というお金はとても大きな価値のあるものだ。
困っている彼を助けたい一心で差し出したが、全てが嘘だったというのなら、今すぐにでも返して欲しい。
しかし、彼はその事実を認めようとしない。
「あのさ、何の証拠があるっていうの?金を貸したっていう契約書でもあんの?」
「……」
「仮にその誠って男に10万円貢いだんだとしても、その元を取れるくらい楽しませてもらったんだろ?」
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