Act1.時給920円から始まる恋

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それから、約1時間後 ――― 今日の特盛パフェには、桜海老がトッピングしてあった。 春漁が始まっている時期なので、地元の港で新鮮なものが手に入ったのだろう。 塩加減が絶妙で、これまた微妙に美味しく感じられるのが『みどりや』の恐ろしいところだ。 そして今、食後のダージリンティーを飲みながら、私の不幸話に花を咲かせているところ。 「うわぁ……それは、災難だったわね」 「本当に、そう思っている?」 「うーん、実はそうでもないかな。くるみらしいなって」 「……」 和は、私が彼と付き合っていたことは知っていた。 私から、彼との惚気話も散々に聞かされていた。 だから、もっと感情的に何かしらのアクションをするのかと思いきや、意外と反応が薄くて拍子抜けしている。 「あんた、昔から変な男に引っ掛かりすぎじゃない?」 私の残念すぎる恋愛遍歴を知り尽くしているがゆえの、反応なのかもしれない。 確かに、昔から惚れっぽくてミーハーな性格の私は、常に誰かに恋をしていた。 「マザコン男に自称占い師の男、下着泥棒にロリコン、それから……何だっけ?」 「……思い出したくもないよ」 「で、今回は詐欺師!また新たな経験値が上がったね」 「そんな経験値、嬉しくないよ!」 履歴書に書けるわけでもあるまいし……。 まあ、自叙伝とか出版したら意外とイケるかもしれないけれど……。
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