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平日の夕方、広い敷地の駐車場には、車が多く停まっている。
都会だと近隣に何軒もコンビニがあるけれど、この周辺には他にないから、利用するお客さんが多いのだろう。
ひっきりなしに出入りする人の流れを、ぼんやりと眺めていると、店員と思われる男性が清掃道具を持って中から出てくる。
かなり強面でいかつく、本業はスナイパーだと言われても違和感がない。
このコンビニ、大丈夫なの……!?
しかし私の心配をよそに、そのスナイパーは手慣れた様子で掃き掃除を始め、地面にへばりついたガムを剥がし、ごみ箱の袋を交換する。
その見事な仕事ぶりは、只者ではない……。
無駄のない動きを夢中になって観察していると、買い物を終えた和が戻ってきた。
「お待たせ。何、見てんの?」
「実は今ね……」
スナイパーのことを嬉々として話そうとした私の視界に、見慣れた顔が入ってくる。
和の背後から、ニヤニヤしながら登場した彼は、篤(あつし)といって小中高の同級生であり、なおかつ私にとっては幼馴染でもある。
「よう!くるみ!」
「げっ……篤」
「何だよ、その微妙な反応は」
篤とは、男女の垣根を越えた熱い友情や、少女漫画のような胸キュンな恋模様はなく、腐れ縁という名に相応しい間柄だ。
だから、こういう反応をしたくなるのも無理はない。
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