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「俺たち……一旦離れた方がいいと思うんだ」
「へ……?」
まさに、寝耳に水というのは、こういうことを言うのだろうか……?
それとも、鳩が豆鉄砲を食らったという状況だろうか……?
そんな、どうでもいいことを頭の片隅で冷静に考えていると、彼は私の反応を気にしながら、躊躇いがちに話し続ける。
「今みたいに気軽に会いに行ける距離じゃない……。それに、くるみちゃんも当分は忙しくなるだろうし……」
「それって、別れるってこと……?」
「そうじゃない!落ち着くまでの間、会わないってだけの話だよ。ただ、それがいつになるのかは分からなけれど……」
「私、離れていたって平気だよ……?」
半年に1回……いや、3ヶ月に1回くらいなら会いに行ける。
いっそ、内定を辞退して、無理を言って一緒に北海道に行って農場を手伝うという選択肢もある。
けれども、サボテンですら過去に3回も枯らしてしまった上に、虫が大の苦手な私には、今すぐに覚悟を決めて踏み出せる勇気はない。
遠距離恋愛という修羅のように厳しい道のりを、共に歩んでいくのが最善の策だ。
昔から、誰かを想う一途さだけは御墨付だから、離れていたって上手くやっていける自信はあった。
でも、彼はそうではないようだ。
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