Act 0 〜Prologue〜

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お金なんてどうでもいい。 私は、困っている彼の力になりたいんだ。 「私は平気だから……今はなるべく早く、御両親の側に戻ってあげて下さい」 「……ありがとう、恩に着るよ」 私にできることは、彼を遠くから見守り続けて支えること。 今までの関係を維持するのが難しくても、出逢ったころのように親しい友人の間柄でも構わない。 他に頼れる人がいないと、そう言ってくれた彼の心の拠り所になりたい。 「落ち着いたら連絡する」 「うん」 すぐにでも帰省の準備に取り掛かりたいからと、その日はすぐに彼は帰っていった。 早ければ今月中には田舎に戻るという。 出発の日が決まれば連絡すると、そう約束してくれた。 しかし、彼からはその日を境に、連絡は全くなくなった。 会社の退職手続きもあり、いつにも増して忙しいであろう彼を煩わせたくはなかったが、3月も残り1週間を切ってしまったので、気になってメッセージを送ってみた。 しかし、全く既読がつかない。 こんなことは初めてで、時間を見計らって電話を掛けてみたが、この電話番号は現在使われておりませんという、機械アナウンスが流れ始めた。 ここまで音信不通だなんて……もしかして、誠さんの身に何か起きたのだろうか!?
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