第一章ープロローグ【始まりのアルケ街】

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no-side──── 突如森の空中に淡い光と共に現れた、小さな体が落ちた。 少年はパチ、と目を見開いて唖然とした。突然足場を失い、遠慮なく重力に引っ張られ、落下時独特の内臓の浮く感覚に僅かに眉を寄せた。 そして彼の体はやっと地面に着いた──いや、打ち付けられた。 それと同時にやっとの事で少年も自分が落下している事を頭で理解し、咄嗟に腕で頭部を守り体を小さく丸めて守る形をとった。 けれども少年はランダムに与えられる体への絶え間ない衝撃と激痛に顔を思い切り顰める。 ……そして彼はしばらくしてから気が付く。 ────少年が落ちた先は無情にも長い長い急斜面の崖だった事に。 少年は崖を転がり落ちる。何度も何度も跳ねるように打ち付けられる。勢いよく転がり落ちる彼を斜面に生える木の幹が待ち受け、少年の体に痣を作る。枝や草は洋服を裂き、その先の肌に傷を作っていった。 少年の白い肌は泥まみれで、黒い髪は色は変わらないもののぐっしょりと濡れてしまっていた。 少年はもはや朧気な意識の中で思う。 ────僕は普通だったはずだ。 日本人によくいる黒い目と髪に凹凸の少ない顔立ち。ただ少々童顔でイケメンとは無縁の顔立ちであることくらいが悩みだった。 彼はそれが嫌という訳ではないのだがその顔であるというだけで、今まで罪悪感をジクジクと刺激されることが多かったのだ。 言いようのない、前触れのない罪悪感に心が痛む。 ……少年はなおも転がり落ちる。 終わりの無い一定の浮遊感と視界の回転。 ぐるぐると周り目が回って見えていないのか、もう目も開けていないのかもわからなくなった頃。 やっと少年は意識を手放した。 ────自分はなぜ落ちているのか? という漠然とした疑問を抱いて。
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