スムージーとプレゼント

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も、もし本当にそうだったとしたら……本当に申し訳ない。 あの状況から助けて貰っただけでも充分なのにその後まで迷惑かけて……しかも、何より無一文。挙句、喋れないから素性も明かせないし、出会った当初は多分学ラン…明らかに異国臭く変な格好だ。 そりゃ仲間や同僚の人に反対だってされでもおかしくないはずだ。いやむしろ警戒されない方がおかしい。 最悪僕に優しくしてくれた人達…仲間内で信頼関係が崩れてるんじゃ…? そんな悪い方に悪い方にと思考を深めてしまったその日の夜────。 ブレイクさんは僕がこの世界で初めて目にしたである太眉の人ともう1人ブレイクさんとの初対面で見た細い人を連れて部屋に来た。 細い人のその手には僕の真っ黒な学ランと真っ白なシャツ。 崖を転がり落ちドロドロだっただろうし、きっと穴だってあちこち空いていたはずだ。 3人が並んで立つ前に駆け寄って、どうしたのかとブレイクさんの顔を見る。 ブレイクさんは眦を下げ、“よかったな”みたいな顔をして細い人に何かを話している。 僕もブレイクさんの視線を追って細い彼を見つめ、その手元に持たれた懐かしいものを見た。 ────こんなに綺麗にしてもらって…… と、そこまで考えてふといい考えが思いついた。 僕に学ランを手渡そうとしてくる細い人の手を掴んでぐいっと押し戻す。思っていた反応と違ったのか驚いた彼。 鼻だけツンと高いが彼の顔は東洋系のようで、知らず日本を思い出して少し心が和む。 この世界で会った人達のうち二分の一は面をしていたから顔立ちはわからないけど……太眉の彼もどちらかと言うと東洋系の顔立ちのようだし、ここは意外と平面的な顔立ちの人口が多いタイプの異世界なのかもしれない。 あ、しまった……また考え事をしてしまっていた。 とにかく僕が思ったのはこう────少なくとも僕の知る物語の中では異世界の人たちにとって“日本の洋服はとても高価に見える”っていう法則があった。 なら、これをお礼にしたらいいんじゃない?と、考えたのだ。が……違ったらもう僕なにしてるの?って感じになると思うからそこは賭け。 まずは日本の形見(制服)を受け取ってもらって、あとは何か……いや、今は無理に返さなくてもいい。いつか生活が安定したら返しに来るとかしよう。うん……妥協も必要だよね。 困惑顔の細い人は首を傾げた。彼は軽く屈んで僕と視線を合わせると何か首を傾げて聞いてくる。隣に立っていた太眉の……何処とないイモいさを含んだ印象の彼も屈んで困った顔をしてくる。 もちろん何を言っているのかは分からない為、僕は細い人に首を振って学ランを押し戻し続け、一生懸命頑なに受け取らない意志を伝えた。 一向に伝わらなくて僕の方が困りだした頃……チラッとブレイクさんの顔を見る。パチッと目があい、困ったように笑いかけられた。 そこで……僕はもう一つ賭けをすることにした。 ブレイクさんなら分かってくれるかな……
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