カルクの当たり前と奇跡

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カルクside──── 僕は平民で兄と騎士見習いをして────あぁ…でも“見習い”だから正しくはまだ平民か。 僕達は将来第二騎士団に入る事になっている為、いつもは第二の騎士たちの誰かが最低限の教養を教えてくれたり訓練をみてくれたりする。……のだが、今日はみんな忙しいらしく見る人がいないからと稽古は中止になってしまった。 ……遠征って訳でも無いのに忙しいなんて珍しい。 寝泊まりさせてもらっている第二宿舎を大人たちがバタバタと駆け回っているのを眺め、大変そうだなと他人事のように思っていると突然肩に重いものが乗っかって来た。 「わ───っ!」 「カルク!オッサンとこ行こうぜ」 「……そういえば久しぶりだね。いいよ」 同じく騎士見習いをしている兄、アーツが明るい赤茶色の髪を揺らして肩を組んできた。 「ノアも連れてく?」 「いや、ノアんとこはロイドがいるからいつも通りだってさ」 「そうなんだ、じゃあまた今度誘おう」 「おーう」 ノアとは治癒士見習いの子供だ。この街の騎士団の宿舎に子供は僕と兄さんとノアの3人だけ。 治癒士は遠征によく駆り出される第二騎士団にしか居ないため、宿舎も僕らと同じでたまに話したり出かけたりする事もある。だいたいこっちが誘ってって感じだけど。ほら、ノアってあまり話さないから。 一度部屋に戻って準備を済ませ、兄といつものようにくだらないことを話しながら街へ繰り出す。 *** ───第二騎士団は容姿が優れないものが入れられる。 だからよく遠征に行かされるし、表立って街を見回るのも第一騎士団の容姿に問題がないか優れている方の人間だけだ。 第二が遠征によく行かされるのもそういった理由が主で、第二が遠征の間も第一は変わらず街の治安を守る。 第二の騎士見習いである僕らも例に漏れず容姿が優れない組。先程の準備だって、頭から被るローブを取りに行く為だった。 だから街に入る時も、路地裏から目立たないように行くことが当たり前。
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