カルクの当たり前と奇跡

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ボロボロと涙が溺れ落ちる中、絶対に離れないと首を振り、はくはくと空気を吐き出し何かを訴えている。 ついにはブレイクさんの手をやんわりと押し離し、僕の肩に顔を埋めて震え本格的に泣き出してしまった。 やんわりとは言え拒絶されたブレイクさんは傷付いたようにズーンと意気消沈してしまい……それには僕の方が気まずくなってしまった。 暫くして人集りをなんとかしてこちらに来たイーサン副団長に何をやっているのか、と視線で問われたブレイクさんは渋々僕に目を向けて消え入るようにボソボソと呟いた。 「カルク、悪いが御使い様を連れてこられるか? ……その、暫くお前から離れてくれそうにない」 「いえ…大丈夫です。僕は構いません」 僕は先輩であるイーサン副団長やブレイクさんの後に続いて、御使い様をそのまま抱き抱えたまま着いて行った。 *** …………うぅ。 「……っ………っっ…」 ────啜り泣く声に居た堪れなくなる。 宿舎に向かう浅い森をゆっくりと軽く中、先程からはらはらと雫をこぼし続ける彼……いつか涙が枯れてしまうのではないだろうか。自分の腕の中で泣き止まない御使い様を見て申し訳なくなる。 元を辿れば……僕のせいで泣いてるんだよね…… ブレイクさんがオロオロと隣を歩きながら呟く。 「だ、大丈夫なのか…? 目元が真っ赤だ…」 「はぁ……ブレイク、大丈夫ですよ。宿舎に戻ればロイドが待機していますから直ぐに見てもらいましょう、きっと良くなりますから」 僕の反対側の隣を歩いていたイーサン副団長が呆れた顔をしてブレイクさんを宥める。先程からこんなやり取りが僕を挟んだ頭上で飛び交っている。 僕は腕の中の神秘的に整った彼の顔を眺める以外することがなかった。そんなとき…… ────あ……しまった。 ふいに僕が本来街に降りていた目的を思い出した。
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