ただいまとブレイク

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主人公side──── ────すっごく、恥ずかしい……っ 僕はみっともなく同じくらいの年頃の男の子の胸の中ですすり泣いていた。うん、もう既に情けない。 今はあの施設に戻ってきたらしく、以前と同じ部屋にいる。 僕は広場で男の子の首に抱きついていた所を抱き上げられたものだから横抱き状態。いわゆる『お姫様だっこ』……ていうかこの男の子僕とあまり変わらないくらいの背丈なのに力強いな。 うーん、更に情けないね… いや……でも日本で長身のイケメンに面白がってされた事だってあったし……それに比べたら平気、だと思いたい。とはいえ……大分泣いてしまった。 それはもう決壊したようにボロボロと……きっと酷い顔だろうことが手に取るようにわかる。だからこそ、この子の胸に押し当てた顔が上げられない。 つまりこの部屋に戻ってきてもこの子から離れられていない。ほんとにごめん。 この子は僕と同じくらいの年齢に見える。という事はだんだん色恋に興味が出てくる頃で……耳を澄ませばやはり僕が顔を埋める少年の胸が早鐘を打ち続けていた。 パッと見ではあるが、僕は日本で女の子に見られることが多かった。それは言われるままに伸ばした長めの髪や顔立ち、体のサイズも関係していたのだが…… ────この子……もしかしなくても女の子に抱きつかれてるって思い込んじゃってない?申し訳ない、男なんです僕。 じゃあ離れろって?いや無理です無理です泣き腫らした年頃の男の顔を不特定多数に晒すとかどんな仕打ち無理無理無理無理。 つらつらと心の中で言い訳をしていると、部屋の中にいた沢山の人の気配が、あの細身の人の声でごっそりと減った気がした。 不思議に思って肩口から覗いてみると人払いしてくれたのか、この部屋には見知った数人しか残っていなかった。
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