ただいまとブレイク

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僕は男の子に抱き上げられたまま座っていた体制から立ち上がり彼から離れたところに立つが、その時少年と一緒に座っていた椅子がこここら出る時窓へ登るために移動させたものだった事に気がついて居心地が悪くなった。 …鍵をかけられていたことから言外に『ここに居なさい』って言われていることはわかっていた。…分かっていながら、そこから逃げ出して、しかも問題を起こして連れ戻された訳だからもちろん居た堪れない。 「……────」 “ごめんなさい” きっと、これも伝わらない。 でもこれは自分からここを去っておきながら、厄介事を起こした挙句に連れ戻してもらったことに対して。 それから……それに喜びを感じている自分に呆れ申し訳なくて、溢れ出た謝罪の言葉。 けど、それより何が1番申し訳ないって…… あの時、ブレイクさんを認識した瞬間……彼なら“もしかしたらこの子を助けてくれるんじゃ”って、他力本願な最低な感情が心を占めたのだ。 それで……どちらにせよ、自分をこの場所に連れ戻すならと、男の子にしがみついて決して離さず一緒に連れてきてもらったのだ。 僕が謝るとブレイクさんは僕の両肩に手を置き、何かを懸命に訴えている。真剣さは伝わるものの言葉の分からない僕には真意が分からない。 それがどうしようもなく…… こんなに、ブレイクさんが真剣に何かを訴えてくれているのに……こんな時にも当たり前のように言葉が、伝わらなくて……それが歯がゆくて、悔しくて、言葉が分からない自分に腹が立つ。 きっと、“なんで居なくなった”とか“危ないだろう”とか、子供にかけるなら、そんな所だろうか。 今の僕は憶測でしか判断することができない────
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