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暫くして、太眉の人と壁際に居た細身の人が近づいてくる。
不思議に思って2人を見つめていたら、2人して何度も同じような文章で僕になにか話しかけてきた。
結論から言うとそれは未だに知らなかった彼らの名前で、細い人はイーサンさん、太眉の人はリアムさんと言うらしいことが分かった。
2人は何故か僕に頭を下げて申し訳なさそうに謝っている。よく分からないけど特になんの問題もないのでオールオッケーだ、と意思表示しておいた。
────もちろん現実には笑っただけである。
なんかもうそれくらいしか意思表示出来ないっていうか……
僕は常にヘラヘラ状態だ。相当に気味が悪い。
「******、*****」
話が終わったのを見計らったのか、カルクくんは何かを言うと彼に握られたままだった僕の手を軽く引いた。自然とそれに促されて立ち上がれば、彼は僕に恭しく礼をするとその手をくい────と再度引かれ、僕も引かれるがまま従って着いていく。
エスコートされるように手を引かれて部屋の外へ出された。
……けど
何となく、出ては行けないと言われていたところを勝手に出て、問題を起こして連れ戻されたのがついさっきの事だ。本当に自分が出てもいいのか不安で、扉をくぐる瞬間ブレイクさん達に目を向けるが、微笑まれただけだった。やっぱりもう部屋を出てもいいらしい。
……なんか妥協してもらった感というか、自分がどうしようもなく問題児というか。
僕もしかして…閉じ込めると逃亡したりその他諸々で更に面倒なことを仕出かすような、正直いって扱いづらい子供認定されてないかな。
……心配だ。
廊下を歩くと東洋と西洋を2:1程度でミックスしたような容姿の人達が視界に入る。すれ違う度に視線を感じて少し居心地が悪かったが、かく言う僕もリアムさんが着ていたようなラフな服を着て腰に剣を帯刀しているまさに“戦う男”なお兄さん又はおじさん達に視線が吸い寄せられてしまっていたのでお相子だろう。
それに……よく見ればかなり東洋系寄りの容姿の人もいるみたいだけど、やっぱりそれでも珍しいようで、僕のようなノーマルの日本人……黒髪黒目の典型的な人種は居ないようだった。……少なくともこの建物やこの街には。
まぁ、要はこの辺りではレアなのだろう。自分も日本にいた時エキゾチックな外人さんたちを見かければ『わぁ…』と、不躾とまでは行かないにしろチラりと目で追ってしまうことはあった。
しばらくしたらみんな見慣れるだろうから、あまり気にしないでおこう。
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