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「じゃ、送ってくれてありがとね、あとご馳走様」
アパートに到着し、柚月はタクシーを降りた。
しかし、背後から大雅がついてくる。
「なに?」
「部屋の前まで送る」
「別にいーよ。帰んなよ」
「うるせぇ、はよ行け」
大雅が急かしてくるので、仕方なく柚月は階段を上った。
部屋の前でチャイムを押す。
暫くして玄関のドアが開き、先ほどの電話の相手が現れた。
「柚月、早かったね。…誰?」
目の前の顔が怯えたように見てくるので振り向くと、大雅が顔を反らせて睨んでいた。
柚月は咄嗟にその額を叩いた。
「コラ、てめぇ、何メンチきってんだ」
「いてぇ」
「知也、気にしないで。こいつは高校の時の同級生。人相は悪いけど、恐くないから。送ってくれたんだよ」
知也は瞬きをしてからおずおずと頭を下げた。
大雅は柚月の腕を引っ張って知也に背を向けると、こそこそと囁いた。
「おい、お前、あれは駄目だろ。どう見てもDKじゃねぇか。若すぎるだろ」
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