色に出に蹴り我恋は

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野崎が笑い飛ばす。 「恐くないよぉ。少しからかうと黙っちゃうし、男慣れしてないっつーか。まあ、色気もないけど…」 柚月は足音を忍ばせて、背を向ける野崎の後ろへ近付いた。 他の2人が気付いて顔を凍らせる。 「の、野崎さ…」 「まあ、十七夜君には荷が重いんじゃないかな?あーゆー子には俺くらい軽い感じの…」 「仕事の方は、もうちょっと慎しく重くにお願いできませんかね。野崎さん」 野崎は飛び上がった。 柚月は眼鏡を指で押し上げて、野崎に付箋のたくさん付いた書類を突き付けた。 「内訳書の項目に誤字、単価の間違い、計算間違い、あと、この内容でこの工期は不可能ではないですか?確認してください」 腕を組んでニッコリ笑う。 「午前中に出していただかないと契約書の作成が間に合いませんので、宜しくお願いします。それと、私、軽い男の人は好きじゃありません」 言い捨ててその場を去った。
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