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上田はケラケラと笑った。
「間抜け過ぎ。野崎さんって、顔はまずまずなのにねえ」
「失礼過ぎるよ」
「でもさ、それ牽制だよね。やっぱ、薬丸のこと狙ってるんだよ」
「からかってるだけでしょ。地味で堅くて男慣れしてないそうだし」
上田は違う違う、と首を振った。
「あいつは、そーゆー、真面目そうな子が好みなんだよ。自尊心上げてくれそうな」
柚月はげんなりした顔で上田を見た。
「ノリが軽くて結構人気あるのに、誰とも付き合ってないじゃん。派手な子には腰引けてるのわかるもん」
目立たないようにしていたのが裏目に出たのか…。
大雅とは実際あれから良く会っているから、噂になるのも仕方無い。
釣り合わない、あんな地味な人…と、大雅ファンから聞こえるように陰口を叩かれることも増えた。
尖っていた頃とは真逆に、転校した後は無駄に目立ちたくなくて地味なスタイルを通していた。がっつりバイトしながら通学していた日々には、身なりの事など気にする余裕が無かったともいえる。
でもまあ、母親も再婚して落ち着いたことだし、職場にも馴染んだと思える今、好きな格好をするくらい良いのかもしれない。外野の干渉には負けない自信もあるし。
野崎対策も兼ねてイメチェンすっかな。
大雅はどう思うだろう…。
柚月は久しぶりに気持ちが上がり、浮き足だった。
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